7月20日放送の「NHKスペシャルミラクルボディー」で紹介される、義足のジャンパーことマルクス・レームというドイツの走り幅跳びの選手は、右足に義足を付けてジャンプをします。
マルクス・レーム選手は昨年ロンドンオリンピックの金メダル記録を越えたという大記録を打ち出しましたが、リオオリンピックに出場はマルクス・レーム選手自ら断念しました。
マルクス・レーム選手がリオオリンピック出場断念に至るまでの経緯をまとめました。
マルクス・レームとは
マルクス・レーム選手は、1988年8月22日生まれのドイツ出身で、現在27歳です。
元々運動神経抜群だったマルクス・レーム選手、様々なスポーツに打ち込んでいたそうです。
しかし2003年、マルクス・レーム選手が14歳のとき、ウェイクボードの練習中に転んでしまったんです。
ウェイクボード中に転倒することは珍しくないと思いますが、マルクス・レーム選手の場合、不運にもスクリューに巻き込まれてしまったんですね。
この事故でマルクス・レーム選手は右足を失い、義足を付ける生活が始まるのでした。
しかしマルクス・レーム選手は事故にもめげず、義足の右足と共に再びウェイクボードに挑み、なんと2年後にはドイツ大会で2位になったのです。
ちなみにウェイクボードというのは、スノーボードの水上スキー版です。
知りませんでした。
その翌年に陸上競技に転向し、そこからは凄まじい勢いで、数々の記録を、そして自身の持つ記録を次々に塗り替えていったのでした。
強すぎて断念
もしかしたら、私たちの中に身体障害者に対する偏見があって、それがマルクス・レーム選手のオリンピック出場への夢を断念させたのかもしれません。
マルクス・レーム選手は走り幅跳びでロンドンオリンピック金メダル記録よりすごい記録である世界新記録8m40cmを、昨年の障害者陸上世界選手権で打ち出してしまったのです。
リオオリンピック・パラリンピックで金メダル確実とされていました。
しかしこの大記録のせいで、義足はハンデなのではなく、跳躍において有利に働いているのでは?つまり義足はズルい、という論争が起こりました。
つまり先程述べたように、身体障害者が健常者の記録を打ち破るなんておかしい、障害者が健常者より優位にあってはいけない、という偏見。
もしマルクス・レーム選手が素晴らしい身体能力と記録を持つ健常者であれば、あるいは走り幅跳びの記録があそこまで凄いものでなければ、こんな論争は起きなかったでしょう。
国際陸上連盟は、マルクス・レーム選手が跳躍する際、義足であることが有利になっていないことを科学的に証明することを、マルクス・レーム選手に要請しました。
つまり科学的に証明できなければ、オリンピック出場を認めないということです。
どうしてそんなことを科学的に証明しなければいけないか、とても理不尽な要求だと思います。
マルクス・レーム選手はなんとかしてそれを証明するデータを5月末に提出しましたが、国際陸上連盟は、なんと不十分な内容として出場を許可するのかどうかの結論を保留しました。
そんな宙ぶらりんの状態で、マルクス・レーム選手自らが7月1日にリオオリンピック出場を辞退しました。
大会断念の過去
マルクス・レーム選手は、義足ということで、過去に何度も悔しい思いをしてきました。
2014年のドイツ大会でも、健常者を破り1位になりましたが、その次の大会であるヨーロッパ選手権には、派遣されませんでした。
義足ゆえに、それが跳躍の際有利に働いているのでは?という疑念が持ち上がり、ドイツの陸上連盟が、マルクス・レーム選手のヨーロッパ選手権出場を認めなかったからです。
このときはマルクス・レーム選手は、ヨーロッパ選手権出場は諦めたとあっさり話していました。
しかしヨーロッパ選手権とオリンピックでは、スポーツ選手が抱く思いは桁が違います。
さぞかしマルクス・レーム選手は無念だったことでしょう。
最後に
マルクス・レーム選手が大記録を出すのがどれだけ義足と関係しているのか、私には分かりません。
しかし、マルクス・レーム選手が次々と記録を打ち破るのは、単に義足だけが理由ではないと思います。
マルクス・レーム選手本人の元々のスポーツ神経、身体能力、そして今夜のNHKでは、身体障害になったゆえに発達した体や脳の機能を分析します。
いつかマルクス・レーム選手が、何の議論や疑惑、偏見など無く、オリンピックをはじめとする様々な大きな大会で活躍する日が来るといいです。
以上、義足のジャンパーマルクス・レーム選手の義足はズルい?オリンピック記録を達成でも、出場断念した理由や経緯についてでした。