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火の粉第2話 俊郎の心を掴んだ武内の上等テクニックを学べ!

「火の粉」第二話では、先週に続き、ユースケ・サンタマリア演じる主人公武内がいい人なのか悪い人なのかはっきりされはしなかった。ただ普通ではない、それだけは確かな印象を与えた内容であった。しかしながら、この一見尋常そうには見えない武内の一連のお節介行為だが、そこにはちゃんとした、人の心を掴むテクニックが隠されている。そのテクニックとは何か、考えてみたい。

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お金が必要な本当の理由を見抜く

まずドラマの冒頭は、武内の裁判官の息子俊郎があてにしていたおばあちゃんからの遺産が、実は叔母によってすでに使い込まれていた、というショッキングな出来事から始まる。
どうやら俊郎は、単に失業中だからお金が必要、というわけではなさそうだ。

第一話のレビューは「火の粉第1話 バームクーヘンが食べたくなる!」をご覧下さい。

その遺産で130万円もらえる予定だったとことを、俊郎は武内に話すと、武内はどうしてそんなにお金が必要なのかと不思議がる。
俊郎は正直に辞めた会社で、100万円する商品を壊し、会社が訴えてきそうだと正直に話した。これは妻にも話していないことだった。
武内はお金に困っている俊郎に、100万円を用立てる。

ここで分かることは、武内は単にお金を用立てたから、俊郎は武内をよく思い始めたわけではない。
武内は瞬時に俊郎のお金が必要ぶりに、何か深刻な問題があると見抜いたことだ。そして理由を話すように促して、じっくり俊郎の話をきいてあげたのだ。
そんな妻にも話していない話を、単なる隣人に話すのは勇気がいったことだろうが、それでも親身になってくれる武内に話をしたことで、俊郎は少しは心安らかになったのではないだろうか。
だって、誰にも話せないことをずっと心に秘めていることって、とってもストレスなことだから。話せるものなら、誰かに話を聞いてもらいたいと思うのが、人間の常である。
もちろん妻や家族に話せたら、一番いいのだけれど。

相手を責めてはいけない

俊郎はその金を会社に渡すのだが、会社は商品の破損だけでなく、俊郎が社長に殴りかかったことも、問題視していた。
会社側が俊郎の家にやってきて、ことの一部始終を話したため、妻の知れるところになった。
妻の雪見は、なぜ何も話さなかったのかと夫を責める。子供の前で、激しく喧嘩が始まった。

雪見の気持ちも分かるが、これはNG行為である。
夫を責めたところで、何も解決しないし、夫の気持ちはどんどん離れていくだけだ。夫は益々話さなくなるだろう。
俊郎としては、会社に商品の弁償をすれば、ことが収まると思っていたわけだし、事実お金は払ったのだ。
しかしそんな言い訳は雪見の耳には届かない

話を聞くだけで

ではこんなとき、俊郎にどのように接すればよいのか。
その答えを武内が示している。

落ち込む俊郎が武内に愚痴っていたとき、武内は決して俊郎を否定しないし、こうしろああしろと、聞かれてもいないアドバイスをしない。
ただ黙って相手の話を聞くだけである。
そんな武内の態度に俊郎は心を開いていったのだ。

そう、否定したり、お説教したりしてはいけない。黙って親身になって、話を聞いてやる。
雪見がしなければいけないことは、こういうことだったのだ。

そのことは武内も分かっていて、雪見に助言。
労いのことばをかけたことがあるか、ご苦労様と言ったことがあるか、強く叱咤するのではなく、そういう言葉が必要なんだと。
雪見は理解したような、していないような。

とにかくこれ、100%正しい、大正解!!!!!

助言するなら

人は自分の話を聞いてくれる人を好きになるし、そういう人に心開いて、信頼するのだ。
助言するのは、話を聞いてから。相手が全てを吐き出してからだ。

武内も弱気になっている俊郎が、胸の内を全部話しきったあと、助言している。
会社を辞めた日、社長を殴った日、社長が土下座をすれば許してやると言ったにも関わらず、自分はそうしなかった。
会社が自分を訴えようとしている今、不本意ながらも家族を守るため、社長に土下座をしてくる。
そう言う俊郎に武内は、自分は何も悪いことをしていないのに、誤るなんておかしい、と言う。
俊郎が武内の言葉を受け入れたのも、自分の思いを全て吐ききったからだ。

武内が俊郎の元社長と交渉し、会社は訴えを取り下げた。胸を撫で下ろす俊郎に、武内はある提案をする。
それは、裁判官の父にコンプレックスを抱いていたという俊郎に、同じ法律の道に進んだらどうかということ。

俊郎は弁護士になると家族に話すと、雪見以外は全員大喜び。特に父親は息子が自分と同じ道を歩もうとすることが嬉しくて、何でも協力すると言う。

雪見は今まで親に甘えてばかりだった俊郎が弁護士なんかになれるけないと、武内に俊郎に止めるよう説得してくれと頼む。
しかし武内は、どうして俊郎が頑張ろうとしているのに、邪魔するのかと言い返した。

雪見は元裁判官である舅の勲に、どうして武内を無罪にしたのかと問い、その判決は実は間違っていたのではと言うと、勲は激しく怒るのであった。

当然である。自分の仕事を否定されたのだから、勲が怒っても無理は無い。

夫は大事なことを自分に話してくれず、自分の助言を聞こうとしないで、武内のこと言うことばかり信用する。
舅には怒られる。

武内はコミュニケーション術を心得ている

こうして雪見は家族から孤立していったことに対して、武内は梶間家族にどんどん入ってくる。
先週は俊郎の母尋恵の信用を得て、今週は俊郎の心をしっかり掴んだ。
どちらの場合も一見あれこれと与えるプレゼント攻撃や、人助けという名のお節介攻撃のように見えるかもしれない。
しかし、そこにはちゃんとした、人の話を聞いてやる、コミュニケーションの一番大事なことをしているのだ。
俊郎が心開くのも当然である。

今回の「火の粉」では、あまりバームクーヘンは出番が無かった。最後の最後で、俊郎がバームクーヘンを武内に教わりながら作ったのみである。
来週は、バームクーヘンの出番はいかに?

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