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「独裁者の部屋」よりもっと究極な独裁者のアパート暮らし

NHKで連夜放送されたスウェーデンのリアリティショー「独裁者の部屋」。男女8人が普段我々が普通に物に囲まれて暮らしている、その物を全て取り上げられ、サバイバルしているという概要だ。しかし初めにいくつか自分たちで必要と思われるアイテムを、5つ選ぶことができる。それらのアイテムが果たしてどれほど役に立つのか、立たないのか。しかしこのスウェーデンの番組より20年も前に、日本でも同様の「独裁者の部屋」よりもっと過酷な独裁者のアパート暮らしのような企画が行われた。それはこの番組をはるかに越える、そのとき人は何を必要とするのか、その本当の答えが見えてくる。

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独裁者の企画

とある番組で「人は懸賞だけで生きていけるか」という何ヶ月にも及ぶ長期の企画が行われた。与えられたのは小さなアパートと山のようなハガキ、懸賞雑誌、そしてペン。そこには最小限の家具、それに電気や水道は通っていたが、その企画に選ばれた男性(ここでは懸賞くんと呼ばせてもらう)は個人の所有物を一切没収された。着る物も食べる物も無い。全て懸賞で当てなければいけないのだ。「独裁者の部屋」のようにグループで口論している暇はない。懸賞くんはひたすらハガキを書き応募した。いくつかその応募した懸賞が当たり始め、少しずつ物が増えていく。懸賞くんにとって、とにかく食べる物を当てることが何より先決なのだろうが、そこは番組の企画。よく分からない、しかも生活に特に必要ないものなど(芸能人のポスターとか)を当てる。

世の中を悟ってしまって

この懸賞生活が始まったばかりのころ、何もまだ当たらなくて懸賞くんは空腹に耐えながらハガキを書いていた。人間何が必要かって、やはり食べる物だよね、なんて思って番組を見ていた。この懸賞くんには日記を書くようにとノートが予め渡されていて、彼は日記をつけていた。その内容が紹介されて、友陣の考えは一変したのである。確かに最初の頃はお腹がすいて、食べ物のことばかりしか頭になかっただろう様子が伺えた。それもそのはずこの懸賞くん、当時まだ20代で食欲旺盛な頃だ。アパートでじっとしていてもお腹は減るだろう。そしてある一定の時期を過ぎた頃、彼の心境に変化が見られたのだ。直接ことばとして日記に書いたり、カメラに向かってことばを発したわけではないが、彼の表情や言葉の行間から、まるで悟りを開いた仙人のように変わっていったのである。カミソリを当てていなかったのか、ヒゲも長く伸び、その風貌はまさに仙人である。目も世の中を悟った目をしていて、とても20代の意気揚々とした若者という感じではなかった。

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本当に必要な物、それは・・・

ここで友陣も悟ったのだ。懸賞くんは仏教でいうところの「無」の境地に達したのだろうと。そう、人は究極の状態に長くいて、本当に必要な物が見えてきたとき、それは「無」であると。このスエーデンの番組が示唆するトイレットペーパーが必要だとか化粧品だとか、その次元ではないのだ。そういう次元なら、その人はまだ究極の状態に陥っていない。だからこのスウェーデンの番組は、まだちょっとかわいいものだと友陣は思った。

一見ざけた番組の企画に見えるが、当時そこから究極なことを学んだ気がしたのであった。

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