現在波紋を呼んでいる、24時間テレビでダウン症の少女倉川朱夏さんがオリエンタルラジオと「Perfect Human」を踊るという企画の裏で、NHK「バリバラ」で、障害者を登場させ感動を呼ぶ企画は、障害者を利用している障害者差別という内容の番組を放送しました。
障害者について、全く反対の扱い方をした日テレ24時間テレビとNHK「バリバラ」。2つの番組がどうのように障害者を扱っているのか、またなぜ24時間テレビの障害者企画が波紋を呼んだのか検証しながら、この問題について考えみたいと思います。
日テレ24時間テレビのダウン症少女
24時間テレビでは今年のみならず、ほぼ毎年のように障害者が登場したり、障害者に関したドラマやドキュメンタリーを放送しています。今年で39回を迎える24時間テレビですが、私が記憶している限り、ほぼ毎年、こういった企画がなされていると思います。
今年2016年の24時間テレビで、最も話題を集めた障害者についての企画は、オリエンタルラジオとダウン症の少女倉川朱夏さんが「Perfect Human」を踊るというものでした。
障害者が一生懸命何かに打ち込む姿は感動を呼ぶし、人々に生きる勇気を与える、そういうコンセプトの元に、この企画があるのかもしれません。
それとも、障害者について少しでも理解を深めてほしい、そんな願いがあってのことかもしれません。特に最近は障害者を狙った大事件が起きたばかりです。こういった事件を防ぐために、障害者への理解を深めることは大切であり、24時間テレビの企画は意義があるのかもしれません。
biz-journalは、障害を持つ子供の母親の意見を紹介し、
「障害を持つ方が登場する場面など、子供は食い入るように見て、彼自身のなかで思う部分があるのでしょう。
私も正直言って、あまり嫌な気分はしませんし、感動することもしばしばです。」
NHK「バリバラ」の考え
この24時間テレビが放送している裏で、NHK「バリバラ」が全く違う視点から障害者について議論がなされていました。
NHK「バリバラ」では障害者の声や統計を用いりながら、障害者を番組登場させ、視聴者の感動を呼ぶ手法は、障害者を利用していて、障害者への差別だという内容。
確かに障害者にとっては、健常者からみて不便そうなその生活が当たり前なのです。特に不便とか思っていなくて、そういうものなのです。
障害者の多くが、健常者からの同情や、勝手に感動されることを快く思っていない、そんな統計も示されていました。NHK「バリバラ」によると、障害者の9割の人が、障害者を登場させ感動を呼ぼうとする趣旨の番組が嫌いと答えているそうです。
パラリンピックでの活躍が期待されるテニスの国枝慎吾選手は、グランドスリム男子世界歴代最多となる計40回(シングルス20回・ダブルス20回)優勝の記録保持者です。国枝慎吾選手はよく「車椅子なのにすごい」と言われるそうですが、自分にとっては当たり前のこと。単に「すごい」と言われるたら、どんなに嬉しいことでしょう。私たちの中に、どこか障害者に対する偏見があるゆえに、「車椅子なのにすごい」となるのかもしれません。
みんなの反応と意見を分析
ネットで批判されている内容を見て、なぜ波紋を呼んだのか分析すると、24時間テレビで障害者を登場させたことそのものより、なぜ「Perfect Human」という選曲が、あまりにメッセージが強過ぎたようです。
過去の24時間テレビのように、普通に有名人とパフォーマンスをするだけならまだしも、この「Perfect Human」という曲が、いかにも障害者は不完全ではない、という社会的意味合いが強過ぎて・・・。その裏には、障害者は不完全だという考えがる、そんなことを読み取れてしまいます。そういう番組側の意図が見えて、波紋を呼んだのではないでしょうか。
最後に
私は怪我をして車椅子生活を経験したことがあります。3ヶ月の車椅子生活でしたが、何て不便なんだろうと思いました。そのとき、一生車椅子生活を送る人もいるのかと思い、何て大変なんだろうと思いましたが、これはきっと大きな間違いだったのでしょうね。こういう考えが実は障害者に屈辱を与えていたのかも、と今回あらためて考えさせられました。
以上、日テレ24時間テレビのダウン症少女vsNHKバリバラの障害者に対する扱いについてでした。