前回からの続きで、人はどうして運動しないのだろうか。その理由を、子供の頃や十代の頃の人間形成の時期に「運動とは辛いこと」と体験的に学んだことではないかと考える。一度すり込まれたものは、大人になってもそう簡単に消えることはない。では考え方を変えることは不可能かといえば、決してそうではない。今回は、どうやったら「運動は楽しいもの、楽しむもの」と考えられるようになるのか、探ってみたい。
体を動かすことは、楽しいこと、と脳にコピペする
子供の頃に体験したことは、一生強烈に脳と心に残る。簡単に忘れたりできない。ではどうやってそれを変えるのか。それは意外と簡単で、運動をしたときにプラスの体験をすることだ。運動に対してマイナスの体験しかしてこなかったので、運動は嫌なこと辛いことと考えてしまうのだ。だから運動は楽しいものと考えるには、頭だけで考えていても仕方がない。実際に運動でプラスの体験をするしかないのだ。例えば友人と一緒にウォーキングをして、「凄い!あのスピードで2キロも歩くなんて、結構タフなんだね」と言ってもらえると、ウォーキングに対してプラス感情が芽生える。「え、2キロなんてたいしたことないよ。あと1キロは平気で歩けたと思う」なんて心にも無いことが口から出てしまう。「じゃあ次回は3キロ歩こうよ」なんて友人が提案すると、カッコつけたことを言ってしまった手前ノーとは言えず、これはやるしかないと前向きになるだろう。そして3キロ歩き切れば自信にもなるし、疲れて夜もよく眠れるだろうし、そうすれば益々頑張ろうと思うものだ。
運動に関してプラスの体験をすることによって、それをマイナスの体験の上に、上書きしよう。その作業は、マイナスのイメージの上に、プラスのイメージをコピペしているということなのだ。
最後に
今の友陣には、叱ることしか方法を知らないあの部活の顧問は、もういない(良かった)。いるのは、頑張ると褒めてくれる家族や友人達だ。すり込まれた考えは、きっと変えることができる。体を動かすことは、楽しいことだ。スポーツは、楽しむためにあるのだ。